Innovationの心理学

Innovation Management の心理学的アプローチ

Managementに関連する心理学の学説を紹介していきます。
これらが何故 Innovation Management に有効か?
それは、"Innovation" がそれ自体に夢を感じさせるワクワクすることなので、心理学でいう「自己実現」「達成」「成長」「目標」「社会的な認知」などの高次の欲求を満足できる要素がたくさんあるからです。
Innovation Managementはこれら心理学の前提条件や環境要件を満足させるよう "SSC" を設計し、従業員満足を高め、新商品の導入を図り、お客様に驚きの満足を与えます。
各理論には、課題も設定しておきました。
これらの理論を組み合わせて、日本発のInnovation 組織と活動を展開しましょう。

今後も、内容を追加・更新していきます。

 

マズローの欲求5段階説 Maslow's hierarchy of needs

マズローは、人間の欲求は段階があり、低次元の欲求から満たされていく。但し、一旦最高位の自己実現の欲求まで到達すると、その維持のためには、下位の欲求が満たされなくても大丈夫となるとしています。


最高位の「自己実現の欲求」の中には「創造」の欲求があり、Innovation は、自己実現の欲求を満足できる要素があることがわかります。
欲求の5段階

Self-actualization 自己実現の欲求 - 創造、自己目標
Esteem 尊重欲求 - 達成、自信、尊敬
Love/ Belonging 社会的欲求 - 友情、家族、愛
Safety 安全欲求 - 仕事、健康、所有物の安全
Physiological 生理的欲求 - 水、食物、排泄

課題は、
(!)なかなかSelf-Actulizationの段階まで、役員・従業員が到達できないということです。
 社長だけがこのレベルにいても会社は良くなりません。
(2) それでは、従業員がどこのレベルにいてなんの欲求が満足していないかを判断し、それをインセンティブにして能力を引き出せるマネージャーがいるかどうかです


XY理論 Theory X and Theory Y by Daouglas McGregor

MITの経営学教授のマクレガーによって提唱された理論です。上記マズローの欲求説からも影響を受けているようです。
Theory Xは、従業員がしたくない仕事をさせるマネジメント理論です。

したくない仕事をさせるので、マネージャーはいつも監視をしていなければならないというのが前提になります。当時のアメリカの自動車工場などがモデルでしょう。
管理範囲 - Span of Controlの考え方もこのX理論から発生しています。10人から20人を管理範囲として、マネージャーの層構造を作ります。
日本のマネジメントは、いまだ、このX理論のマネジメントを行っている企業が多いように思います。


課題は、
(1) マネジャーの層構造を大企業に適用すると、マネージャーの数が増え、更に給与も高いために、マネージャーの人件費は人件費全体の30%にもなってしまいます。
(2) 更に、この層構造の中にできの悪いマネージャーがいるとよいアイディアが抹殺されてしまいます。
(3) 特に自分の保身を第一に考えるマネージャーは、イエスマンを部下に据えます。
(4) このため大変閉塞的な部門となり、能力があり、やる気もある従業員は他の会社を選択するということになります。
(5) 経営者としては、管理が楽ですが、従業員の能力を最大限に引き出すことができず、競争に負ける可能性があります。
 
Theory Yは、従業員が望んでいる仕事を推進するマネジメント理論です。

従業員は、大志があり、自己統制が可能であり、仕事の心理的、肉体的な役務を喜んで行うという前提に立っています。従業員は、創造的な問題解決能力があり、学習能力があり、従業員の設定した目標のために自己統制を行いながら目標を達成できるとしています。良い仕事をすること自体が満足を与えます。
マネジメントスタイルは、情報を共有し、上下関係意識をなくし、権限を委譲し、意思決定を共有することになります。
従業員の持つ能力とエネルギーをフル活用することができます。
経営のポテンシャルの高さを感じます。

課題は、
(1) Theory X型のマネジメントからTheory Y型のマネジメントに、一足飛びには行けない。
(2) すべての従業員が自己統制を持ちながら、仕事の心理的、肉体的な役務を喜んで行うようになるのか、従業員の評価が難しい。
(3) マネージャーは、より高い 状況把握能力と危機管理能力の育成が必要となる。
(4) 全社的な改革が必要で、最終目標に至るプロセスを描く必要がある。
 

ハーズバーグの衛生動機付け理論 (Hertzberg's mitivation-hygiene Theory)

フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事の満足および不満足を引き起こす要因に関する理論です。
2つの要因は、不満足要因(「衛生要因」)と満足要因(動機づけ要因)であり、これらに相関関係が゛ない、つまり、不満足要因が充足されても、満足要因が充足されないと満足の状態とはならないことを意味します。逆に不満足要因が充足されないと、不満足な状況となります。

動機付け要因を見てみますと、チャレンジ、責任、達成など、Innovationを通じて得られる要素がかなり入っています。

不満足要因 Hygiene Factore とは、
Status 身分
Job Security 仕事の継続
Salary 給与
Fringe Benefit 福利厚生・その他給与
Work Conditions 仕事環境
動機づけ要因 Motivation Factor とは、
Challenging Work 仕事上のチャレンジ
Recognition 認知
Responsibility 責任
Achivement 達成
Personal Growth 成長
課題は、
(1) 不満足要因の現状分析を行い、不満足要素を早急に対策すること。
(2) 動機付け要因をどのように見つけ出して、それらを満たすことができるか
 

アドラー心理学 

上記心理学者は、ビジネス上の動機をテーマにしていましたが、アドラーは臨床心理学も含めた総合的な心理学体系を構築しているようです。
マズローの欲求段階説にも強い影響を与えたとされています。


ビジネスに関係している部分を取り出してみると、
(1) 人間は、社会的な生き物であり、その中で劣等意識から優越意識を持とうとして目的を設定して行動するとしています。
(2) 目的は、自分だけでなく、所属する社会のメンバーにとって有意義となるように設定され、その目的が達成されることにより、自己実現と同時に社会的な貢献、尊敬も得られるように設定される。
(3) 所属する社会として、3つのレベルがある。Cognitive, affective, behavioralである。これらは、全体として一つの統合された個人の構成要素となる。ビジネス上の社会は、behavioral (行動)に属する。
(3) 共同体感覚 (Feeling of community) が重要であり、訓練されて初めて共同体感覚を会得できる。この共同体感覚は、Business - "behavioral"の場合は、成長のための行動を即すと同時に、他の組織員のための協力関係を醸造するように作用する。
課題は、
(1) behavioral (行動)な目的をどのように適正・有効に使えるか?
(2) 共同体感覚をどのように訓練するか?